黄色い鼻水
身体はいろいろなシグナルを出して状態を知らせてくれます。鼻水は基本的に無色透明であり、色や粘度は診断に重要な手がかりになります。
鼻水の状態
粘度の高い透明な鼻水
細菌やウイルスが侵入した際には、透明で粘り気がある鼻水が出やすくなります。
アレルギー性鼻炎ではほとんどが透明でサラサラの鼻水ですが、粘度が高い鼻水が出ることもあります。
褐色の鼻水
鼻血や炎症による出血が起こっている可能性があります。
青っぽい鼻水
たんぱく質不足によって分泌されるケースがあります。
黄色い鼻水
細菌やウイルスと戦った白血球や免疫細胞の死滅したものが多い鼻水で、免疫が働いている状態です。青みがかった黄色に見えることもあります。ほとんどの場合、鼻炎や副鼻腔の炎症によって出る鼻水です。急性副鼻腔炎であれば短期間で改善しますが、それ以外の原因で起こっている場合には的確な治療が必要です。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や、喘息をともなうことが多い好酸球副鼻腔炎、カビが原因となった副鼻腔真菌症などがあります。また、アレルギー性鼻炎の炎症が悪化すると黄色っぽい鼻水が出ることもあります。
黄色い鼻水を起こす疾患
急性副鼻腔炎
ウイルスや細菌の感染による急性鼻炎になり、体調不良や疲労などが重なって急性副鼻腔炎を発症します。ほとんどは短期間で治りますが、慢性化してしまうケースもあります。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎の症状が慢性化し、広い範囲に膿がたまりやすくなります。鼻づまりだけでなく、頭痛や頭の重さ、視力低下、嗅覚障害を起こす可能性もあります。
好酸球副鼻腔炎
喘息を伴うケースが多く、アレルギー体質に多い副鼻腔炎で、嗅覚障害や聴力障害(好酸球性中耳炎)などを起こす場合もあります。原因は未だ解明されていませんが、難治性であることから厚生労働省が定める難病医療費助成制度の対象疾患になっています。
副鼻腔真菌症
カビ(真菌)が原因で起こる副鼻腔炎です。発症リスクは糖尿病や悪性腫瘍によって上昇するとされており、片側だけが感染するケースがよくあります。カビが原因なので抗生物質は効きません。頭痛や嗅覚障害などの症状が現れるケースもありますので、黄色い鼻水がなかなかおさまらない時には必ず耳鼻咽喉科を受診してください。
黄色い鼻水の治療法
原因となっている疾患によって、安静を保っていれば治ることもありますが、手術でしか治すことができない場合もあります。正確な診断と治療には専門的な検査が不可欠ですから、黄色い鼻水が続くようでしたら必ず耳鼻咽喉科を受診してください。
アレルギー性鼻炎
花粉やハウスダストなどによって起こるため、原因となっているアレルゲンを突き止めて、できるだけアレルゲンに触れない生活を心がけることが重要です。治療では、内服薬や点鼻薬の処方、洗浄やネブライザーによる処置、粘膜を減量する鼻腔粘膜焼灼術、粘膜の奥にある骨を削る粘膜下下鼻甲介骨切除術、アレルギーに関与する後鼻神経の凍結術や切断術などがあります。原因となる部分を切除する手術は、根本的な鼻詰まりの解消につながりますので、症状やライフスタイルにきめ細かく合わせて選択します。
急性副鼻腔炎
風邪や体調不良、疲れなどが原因となっている場合には、適切な治療と安静により早期回復が見込めます。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
黄色い鼻水が1ヶ月以上続いたら、慢性副鼻腔炎の可能性があります。頭痛や頭の重さ、喉に鼻水が流れる後鼻漏、咳などの症状が現れ、集中力低下や睡眠障害などにもつながるため、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
日常生活に支障がある場合には、鼻内副鼻腔手術、鼻粘膜焼灼や粘膜下鼻甲介骨切除などを検討します。
好酸球性副鼻腔炎
原因不明で難治性の副鼻腔炎で、喘息を持っている方に発生しやすいとされています。洗浄や点鼻薬などが症状緩和にある程度役立ちますが、鼻茸が大きくなって空気の通りを妨げている場合には切除を行います。難治性であることから難病指定されており、助成を受けることができます。
副鼻腔真菌症
カビを原因としているので抗生物質は効きません。片側だけに発生することが多く、手術によって真菌を取り除く必要が生じる場合もあります。