医院名:モーニングクリニック六本木 
所在地:東京都港区六本木6丁目1-8 
電話番号:03-5860-6935 
六本木グリーンビル7階

声帯ポリープ・声帯結節

声帯と声を出す仕組み

声帯と声を出す仕組み声帯は発声するための器官で咽頭にあり、表面は粘膜で中には筋肉や靭帯があります。声帯は左右2本のヒダでできており、そこを通る空気を振動させて声を出しています。
発声では、声帯の前面にある声帯膜様部を使います。咽頭にある筋肉の内咽頭筋が声帯左右のヒダを動かして発声をコントロールしています。呼気流の強弱なども加わって、さまざまな声を出すことができます。
声の出し過ぎなどにより、声帯にはポリープや結節ができることがあります。

声帯ポリープ

ポリープは良性のできもので、声帯ポリープができると声帯がうまく閉じなくなって振動を妨げられ、発声しにくくなります。左右どちらかの声帯にできることが多く、放置したりポリープが大きくなりすぎたりすると反対側にも症状が起こります。

声帯ポリープの症状

喉の違和感がまず現れます。イガイガしますがうがいをしても改善しません。
進行すると声がかすれる嗄声が現れます。話している途中で声が続かなくなったり、空気が漏れるような声になることもあり、唾液を飲み込む時にしみるような痛みが起こることもあります。まれですが、ポリープが大きくなりすぎて息苦しさや呼吸困難が起こる可能性もあります。

声帯ポリープの原因

声の酷使や風邪、喫煙などによる炎症で起こる声帯粘膜の充血がきっかけとなります。充血している時に声を酷使すると声帯粘膜の血管が破れ、内出血を起こして血種を形成します。この血種ができた状態でさらに声を酷使しているとポリープとなります。血種ができても、声を出さないようにして安静に過ごすと血種が自然に吸収されて治癒するケースもみられます。

声帯ポリープのリスクが高い方

声帯ポリープのリスクが高い方声を酷使するお仕事で、発声法が悪いとポリープができやすいため、日常的に大声を出す方は注意が必要です。
歌手、ナレーター、声優、教師や幼稚園の先生・保育士、選挙中で演説機会の多い政治家、カラオケやスポーツ観戦が趣味の方などです。

声帯結節

やはり声の使い過ぎで起こりますが、結節はタコのような硬い組織です。声帯がこすれあってストレスがかかり、中央にペンダコのように表皮細胞が肥厚した組織ができます。ポリープと違い、左右両方の声帯にできやすい傾向があります。

声帯結節の症状

声がかすれる嗄声が代表的な症状で、話している際に空気が漏れたり、声が変化する感じを受けることもあります。毎日のように声の調子が変わるケースも多く、長く話して言ううちに声が出にくくなることもしばしば起こります。結節が炎症から起こった場合には、喉の痛みが初期症状として現れることもあります。

声帯結節ができる原因

ポリープと同様、声の酷使が原因で起こりますが、習慣的な大声、叫び、不自然な声などの刺激を慢性的に続けることが特に結節を作りやすいとされています。こうした刺激が声帯にかかり続けると粘膜上皮が硬くなって粘膜下に体液がたまる、線維化するなどによって腫れ、それでも声を出し続けると結節になります。

声帯結節ができやすいタイプ

声帯結節ができやすいタイプ小学校や幼稚園の先生や保育士は、子どもの安全を守るため、声が出にくい状態になっても大声を出す必要があり、声帯結節ができやすいと言えます。ほかにカラオケに熱中している方や幼い男児に多い傾向があります。また、発声法も結節のできやすさに関与しています。

小児結節

子どもの結節は小児結節と呼ばれています。運動部などで無理に大声を出していることなども影響しますが、声変わりとともに治ってしまうことがほとんどですから、無理に声を出さないよう指導するより、経過を見守っていくことが重要です。ただし、息苦しさなどがあったり、先天異常がかかわっている可能性がある場合には検査を行い、必要があれば治療を行います。まれに喉頭乳頭腫がかかわっている場合もあるため、声のかすれに気づいたら念のために1度ご相談ください。

フォーミングで声帯結節の早期発見を

早期に発見することで、結節まで進行しないように治療することができますが、そのために有効なのがフォーミングという検査です。声帯が硬くなって振動しにくくなると、発声時、声帯膜様部の中央周辺に泡がたまります。泡があると声帯結節になる可能性が高いため、この段階で正しい発声を習得し、声帯をしばらく安静に保つことで結節を予防できます。うがい、マスク、加湿器で喉の乾燥やほこりの侵入を防ぐのも予防には効果的です。

声帯ポリープ・声帯結節の診断方法

声帯ポリープ・声帯結節の診断方法間接喉頭鏡や喉頭ファイバースコープを用いた内視鏡検査でポリープや結節を確認します。さらに、ストロボスコープで粘膜波動を観察して術前術後の評価を行います。

声帯ポリープ・声帯結節の治療法

保存療法と手術療法、生活習慣改善があります。

生活習慣の改善

ポリープと結節は手術しても再発しやすいため、どんな治療を受けるにしても喉に負担をかけない生活を心がけることが大切です。加湿器やマスク、うがい、十分な水分摂取を行い、声を使い過ぎないようにすることや、負担の少ない発声法を習得することで再発を防ぎます。

保存療法

効果が表れるまで時間がかかりますし、数ヶ月行っても効果があまり現れない場合もあります。
声を出さない沈黙と吸入などで炎症を抑制する治療を行います。声帯への無用な刺激を沈黙で避け、消炎酵素剤、消炎鎮痛剤やステロイドなどを用いて炎症を鎮めていきます。漢方薬も処方しています。

手術療法

全身麻酔が必要であり、入院が可能な連携病院をご紹介しています。声帯ポリープや声帯結節は良性疾患ですが、ごくまれにがんが見つかることがあるため、喉頭がんのリスクが高い場合には切除をおすすめしています。