鼻づまりについて
鼻づまりが治ることで、集中力や持続力が上がる、風邪をひきにくくなるという効果を実感されている方が数多くいらっしゃいます。鼻の通りがよくなることで脳への酸素供給量が増加するだけでなく、鼻呼吸が脳の底である頭蓋底を冷却する働きがあることがその理由になっています。脳への酸素供給量低下や頭蓋底の冷却ができない状態では、集中力の低下をはじめ、睡眠が浅くなるなどの弊害が起こりやすく、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼします。
また、鼻がつまって口呼吸を行うと、喉が乾燥して細菌やウイルスに感染しやすくなり、肺炎を併発するなど重症化するリスクも増大します。鼻呼吸では呼気に適度な湿気が加わるため、喉や気管、肺への負担が軽減されるため、風邪やインフルエンザにかかりにくくなり、またかかったとしても直りが早く、軽い症状ですむことが多いのです。
鼻づまりの症状と原因
- 青っぽい鼻水が出る
- 鼻水が喉の方に流れて不快、咳が出る(後鼻漏)
- 咳が頻繁に出る
- 痰が絡む
- 鼻が片方だけ詰まる
- 左右の鼻が交互に詰まる
- 鼻が詰まって鼻血が出やすい
- 鼻の粘膜が腫れている
- 鼻水が多く息苦しい
- 米粒などの異物が入り込んで鼻がつまる
- 鼻から喉にかけて腫れがある
鼻づまりの直接的な原因は、炎症などによる鼻粘膜の腫れ、鼻漏(鼻水)、鼻茸、鼻腔への異物混入、口蓋扁桃・咽頭扁桃(アデノイド)・舌扁桃の腫れ、軟骨や骨のゆがみなどです。
鼻づまりの症状を起こす疾患には、副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、鼻茸(ポリープ)、乳児期のアデノイド、大人の肥厚性鼻炎、妊娠性鼻炎、鼻内腫瘍などあり、ほとんどは複数の原因によって起こっています。
鼻づまりの診断のための検査
問診や視診、そして状態によってレントゲン検査、CT検査、血液検査、内視鏡検査を行って原因や状態を把握します。
鼻づまりの治療
原因となる疾患によって治療法はさまざまです。専門医を受診して正確な診断と適切な治療を受けてください。特に血管収縮系の点鼻薬を常用すると粘膜が肥厚化し、鼻づまりを悪化させてしまう薬剤性鼻炎になりやすいため注意が必要です。耳鼻咽喉科では、一時的な鼻づまりの解消法として、比較的副作用の少ないステロイドの点鼻薬を使用しますが、慎重に経過を観察しながら処方しています。
肥厚性鼻炎による鼻づまり
肥厚性鼻炎は、主にアレルギー性鼻炎から起こるものと、副鼻腔炎から起こるものがあり、処置方法は同じですが、治療法は異なります。
アレルギー性鼻炎で起こる肥厚性鼻炎
数週間にわたってアレルギー治療薬の抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサンA2薬を服用することが効果的です。
副鼻腔炎で起こる肥厚性鼻炎
マクロライド系抗生物質、抗炎症剤など副鼻腔炎の内服薬を服用しますが、効果が表れないケースもあります。
共通の処置
鼻汁を吸引して鼻の中をきれいにします。その後、ネブライザーという耳鼻咽喉科専用の噴霧器を使い、とても細かい霧状になった薬剤を鼻腔のすみずみに届けます。使用する薬剤はステロイドや抗ヒスタミン剤で、ほとんどの場合には点鼻薬より高い効果が得られます。
アレルギー性鼻炎で起こる肥厚性鼻炎の手術
根本的な治療が可能です。鼻腔粘膜焼灼術、神経過敏を抑える後鼻神経凍結手術、粘膜下下鼻甲介骨切除術などから症状にあったものを選択します。
副鼻腔炎で起こる肥厚性鼻炎の手術
慢性的な炎症がある場合には鼻内副鼻腔手術を行い、肥厚の原因に応じて鼻粘膜焼灼や粘膜下鼻甲介骨切除を併用する場合があります。鼻茸がある場合には、鼻内副鼻腔手術と同時に鼻茸も切除します。副鼻腔手術後に鼻茸が発生した場合には鼻茸だけの切除になります。
妊娠時鼻炎
妊娠中は血液量が増えるため、毛細血管の多い鼻腔は腫れやすくなります。出産後に腫れは戻りますが、花粉症の季節などに重なって重い症状になる場合もあります。妊娠中は効果の高い治療が不可能ですが、症状を軽減する処置が耳鼻咽喉科では可能ですのでご相談ください。
幼児期のアデノイド
2歳~3歳から大きくなり、5歳~6歳頃をピークにその後縮小していきますが、縮小がみられずひどい鼻づまりが続いたり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたり、中耳へ影響を及ぼす可能性がある場合には手術の検討も必要になってきます。
薬剤性鼻炎
血管収縮剤の点鼻液を長く使い続けることで起こる肥厚性鼻炎です。血管収縮系点鼻薬の速やかな使用中止が重要であり、肥厚が重度になった場合には手術も必要になります。
異物混入とそれによる炎症
子どもは大人が知らないうちに鼻の中にさまざまなものを詰めてしまうことがあります。無理をすると奥に入り、粘膜に傷をつけてしまいますから、なにか入れてしまったようでしたらすぐにいらしてください。
また大人ではくしゃみなどにより奥に入り込んでしまったご飯粒などにより炎症が起きている場合があります。安全に取り出すことができますので、違和感があったらご相談ください。
腫瘍
乳頭腫や血管腫などの良性腫瘍がほとんどですが、まれに鼻血の症状が多い若年性鼻咽腔血管線維腫や悪性腫瘍ができているケースがあります。良性腫瘍以外は、高度医療機関での手術が必要になるため、信頼できる医療機関をご紹介しています。